「オーナーが使うから退去して」って言われたら…?知っておきたい賃貸契約の基礎知識
賃貸物件をお探しの方の中には、「今の家の大家さんから立ち退きを要求されて…」という方もよくいらっしゃいます。
言われるままに、退去される方も多いのですが、法律的には入居者さん側が「住む権利」はきちんと守られているのです。
入居者としての権利を知っておきましょう!
「普通借家」?「定期借家」?
大家さんから、大家さんの都合によって退去を言い渡されたときにどう対応するか。
さて、まずは前提として、借りている契約の形態を確認しておきましょう。
大きく分けて二つ、
「普通借家」と「定期借家」の契約があります。
簡単に説明すれば、
「普通借家」は「契約を更新しながらずっと住むことができる契約」、
「定期借家」は「決められた契約期限までしか住めない契約」です。
定期借家契約の場合は、(細かいことは色々あるのですが、長くなるのでここでは省略しまして)理由がなんであれ、基本的には契約期限までに退去しなければなりません。
しかし、普通借家契約では、何か「正当事由」として認められる事情がなければ、入居者を大家さんの都合で退去させることはできません。
今回は、普通借家契約で立ち退きを求められた場合に、確認することと対応について覚えて行きましょう。
立ち退き通知は「半年~1年前」に
「オーナーが住むため、退去するように」、という通知を貰ったとします。
さて、退去までの期限について書かれていることかと思いますが、それが一体いつなのかをまず確認しましょう。
契約が定期借家であれ、普通借家であれ、
大家さん側からの退去通知は、「期限の6ヶ月~1年前」に通知しなければならないという決まりです。
来月には退去してください! というような期間が短すぎるものは認められません。
立ち退きが認められる「正当事由」、簡単ではありません
それから知っておくことは、
「入居者を退去させてもいいという『正当事由』」というものの範囲は、あまり広くないということです。
■建物が古くて危険なので取り壊す
■オーナーが住みたいので
といったような事情の場合、これまでの裁判事例においては、この単体の事由だけで「正当だ」認められたという判例はほぼなく、
■立ち退き料を貸主が支払う
という条件をつけることで、やっと認められるという形です。
つまり、「オーナーさんが住むので退去して」、などと言われた場合、
入居者さんはタダで言われるままに出る必要はない、ということです。
引っ越し費用、引越し先の入居費用、家賃が現在の家賃より高い場合の差額としての金額
といったような要求を認める判決が、これまで出ています。
金額や支払って貰う時期などを交渉し、トラブルにならないようきちんと合意書を結んでおくことをおすすめします。
揉める場合はプロに依頼を!
正当事由による立ち退きにおいて、立ち退き料がかかるということは不動産業界には広く知られています。
しかし、大概のケースで大家さん側が「立ち退き費用支払うので出て行ってください」
と自分から言ってくるケースはまだまだ少ないようです。
大家さんが個人経営のため法律に詳しくない場合もありますし、
知らずにそのまま退去してくれればそれに越したことはないので黙っているということもあります。
間に不動産管理会社が入っていてもオーナーの言いなりで、入居者側の負担についてまったく考慮されないことも多いようです。
きちんとオーナーさんに法的に正しい行いをしてもらうよう指導するのも管理会社の役割だと思うのですが…。
合意ができなさそう・一応合意したのに費用を支払って貰えないといった場合は、弁護士さんなどに相談することをおすすめします。
そして、この「合意ができなかった場合」等に備えて、
立ち退き料の請求書を送るなどの場合は、内容証明郵便を使うようにしましょう。
法的拘束力があるわけではありませんが、証拠能力が高いです。
前項の「合意書を結んでおく」のも、こういった事態への備えです。
しかし、入居者さん側としても、いくらこれまでの裁判事例で認められているとはいえ、
実際に裁判になってしまうと非常に面倒くさいですし、
これまで入居中にお世話になったオーナーさんに対し、お金を払ってくれというようなことは言いづらい…というのが実情です。
実際に当社に立ち退きのため部屋を探しに来たという方に、
「引っ越し費用を負担してもらうよう話してみては」などとお伝えしてみたこともあるのですが、何とも言えない反応の方が多いです。
理解が広まって、一般常識のようになれば、
オーナー側も当然のように立ち退き料を支払う用意をするでしょうし、
入居者側も費用請求を臆するようなことはなくなるのでしょうが、
「あまり大事にしたくない」「揉めたくない」という個人の気持ちの問題ですから難しいですね…。
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