戸建を借りるのはアパートとはちょっと違う…庭の手入れは誰がやるもの?
戸建に住みたいと希望する方は多く、
中には一人暮らしでも、大きな貸家を希望する方もいらっしゃいます。
しかし、戸建はアパートと違った注意点もあります。
よくトラブルになるのが、「家のまわりの雑草」です。
貸家は「家の建っている敷地」ごと借りているようなもの
アパートを借りている方は、アパートの敷地内…アパートの裏側とかで雑草が伸びていても、自分で刈ろう!
ということはほぼ無いかと思います。
共用スペースが汚れていたりしても、自分のゴミならともかく、他人のゴミは「ゴミが散らかっています」と管理会社に報告すれば終わり…
という方が多いでしょう。
が、貸家というのはそうはいきません。
一軒家を借りるというのは、家が建っている敷地ごと借りることとほぼ同義です。
家の中だけでなく、庭や、隣の家との境目まで、管理しなければならない場合もあります。
敷地内に生える雑草の処理は、賃貸戸建住宅でよくトラブルになることの一つです。
雑草を放置する危険性
さて、家の周囲の雑草を放置するとどのような問題があるでしょうか。
■見た目が悪い
地域によっては景観が悪くなる、と町内会などから苦情が来るケースもあります。
■虫やねずみなど野生動物が住みつく
スズメバチなどは人間にも直接害を及ぼす可能性があり、危険です。
隣の家の方が園芸・家庭菜園などやっていると、そちらの植物を食い荒らしたりする可能性もあり、近隣にも迷惑です。
■草木が隣の敷地にはみ出す
当然、道路などにはみ出すのも迷惑なだけでなく、道路標識や通行人を見えづらくしてしまうなど事故につながる危険性もあります。
草木自体がはみ出さなくても、草の種などが隣地に落ちて「うちの敷地が雑草まみれになって迷惑だ」、というような苦情がくるケースもあります。
■空き巣に狙われる
傍目に「だらしない人・家の周囲に気を配らない人が住んでいる」という印象になり、
視界が遮られやすいのも相まって、危険性も高まります。
昨今問題の空き家のトラブルも、近隣からの「草が伸びてきて迷惑」からはじまることが多いのです。
ともあれ、草を放置しておいていい理由はありません。
誰かが手入れしなくてはいけません。
除草・庭木の剪定・庭の手入れ、誰がやるべき?
アパートであれば、アパートの周囲の草刈りなどは、基本的にオーナーさんの負担で行われることになります。
一軒家の賃貸物件の場合はどうでしょうか?
「貸家の敷地の草刈りは、大家がやるべきか、入居者がやるべきか」
契約書に雑草の対処などに関することがきちんと書いてあればいいのですが、書いていないことのほうが多いですね。
書いていない場合、一般的には「借主側で行うもの」と判断されることが多いです。
特別な約束がない限り、家を借りる場合は庭などを含む敷地をまるごと借りる状態です。
であれば入居者さんには「善良な管理者として、借りているものに対して気をくばる義務」があります。
いわゆる「善管注意義務」です。
大家側が草を刈る、という契約になっていないのであれば、雑草を放置することで損害が発生すると、入居者の責任になる可能性があります。
庭を放置して荒れ放題になったことで、元の庭の状態に戻すように原状回復費用の支払いが発生した事例も、過去に確認されています。
※国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
◆ 第1章 原状回復にかかるガイドライン
<別表1> 損耗・毀損の事例区分(部位別)一覧表
●戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草
(考え方)草取りが適切に行われていない場合は、賃借人の善管注意義務違反に該当すると判断される場合が多いものと考えられる。
◆ 第3章 原状回復にかかる判例の動向
庭付き一戸建て住宅につき、草取り及び松枯れについての善管注意義務違反があったとして、賃借人の費用負担を認めた事例
【東京簡易裁判所判決平 21.5.8】
などをご参照ください。
一方で、「木の剪定等の手入れ」については、草刈りと違ってある程度知識が必要で、
なにも知らずにやると木を枯らしてしまう可能性があります。
上記の判例でも管理不十分で発生した「松枯れ」については、具体的な世話の仕方を決められていたわけでもなく、借主にも手入れの知識が無かったことから、
枯らしてしまったこと自体は、一般的な「借りているものに対して気をくばる義務」の範疇におさまるものではないと判断されました。
しかし、「家の管理者として松の状態に気を配り、異常に気がついた時点で報告をすべきであった」とされています。
適切な報告を行うことも、善管注意義務に含まれます。
また、契約書等に「適切な管理方法」についての取り決めがあり、
常識的に行なえる範囲のものであれば、借主側が手入れを行う義務が認められる可能性も考えられます。
草刈り・剪定について、あらかじめ決めておきましょう!
契約書に草刈りに関することが載っていないことが多い…と先程書きました。
なるべく、契約前に確認して、契約書に記載しておくようにしたほうがよいでしょう。
取り決めをしておかないことで、トラブルも発生します。
基本的には家の中を勝手に改装してはいけないように、庭も、現在の状態を保つようにしなければならないのですが、
なんとなく「庭」や「木」となると、オーナーから借りている物だとの認識は薄くなってしまいます。
入居者がまったく除草をしようとしなかった…というようなことはもちろん、
芝生が植えられていた庭を入居者が許可なく畑に変えたであるとか、
庭の木を入居者が切ってしまったことでオーナーが怒ってしまったり…。
逆に、家を貸したとはいえ自分の庭だ! と言って
オーナーが頻繁に草刈りなどを理由に敷地内に入ってきて、庭を片付けるなどして入居者を不安にさせたり…といったこともあります。
除草は誰が行うのか、オーナーが手を加えられたくない植木や庭石などがあるのか。
契約書に記載をしておきましょう!
すでに契約しており、契約書に記載がない、という場合は、
まずは確認・相談をしてみましょう!
お互いの認識の違いは、早めに擦りあわせておくに限ります…!
庭木・生垣・雑草の管理については下記の記事もご参照ください。
一戸建ての賃貸は利点ばかりではありません。
一戸建てに住みたいという方は多く、実際様々な利点がありますが、
その分、借りて住む側の責任を持つ範囲も広くなります。
草刈りの他、北国では、屋根の雪下ろしなども行う必要が出てきます。
地域の美観を保つよう求められるなど、その地域に住む住人としての責任も大きくなるでしょう。
本当に一軒家がいいのか、自分や同居人が管理しきれるのか、
契約前に、一度考えてみることも大切ですよ!
恵庭市近郊の不動産賃貸・管理などお気軽にご相談ください!
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