法改正で変わった！隣の空き地・空き家から木や草が伸びてきた時はどうしたら？

草や枝葉がぐんぐん伸びてくるシーズン。

隣の家から草木が伸びてきたら、お隣さんに言えばいいけれど、もし空き家や空き地だった場合は…？

まずは「自分で勝手にやってもいいケース」ですが、

「越境した根と、地下を通じて生えてきたものは、所有者の確認なく切ってもいい」とみなされています。

【民法２３３条４項】隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

となっていますので、根っこがこちらに入ってきたときは、境界線からはみでている根っこは処分していい、ということです。

冒頭、「地下を通じて生えてきたもの」という言い方をしましたが、

私の住む北海道にはあまりないのですが、「竹」などがイメージしやすいですね。

竹は地下の根（正しくは地下茎）を通じて筍を生やして、竹林を広げています。

この場合、竹の根だけでなく根から生えた筍や竹も好きに切ることができます。

筍が土の部分に生えてきたなら嬉しいですが、家の床下に生えたりすると床を突き破って出てくる可能性があって危険なので喜んではいられません、早いうちに処理をする必要があります。

竹の根は、早々に対応するようにしましょう。

さて、根ではなく「枝」がはみでてきた場合、これまでは竹木の所有者に対応してもらうしかありませんでした。

しかし、話題を耳にしている方も増えてきたと思いますが、

隣の家の竹や木が、土地の境界線を越えてきたときに関する【民法２３３条】が令和５年４月から変わることとなりました。

【民法２３３条】

１．土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。

２．前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。

３．第1項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
　一　竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
　二　竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
　三　急迫の事情があるとき。

４．隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。

大原則としては第1項の「所有者に枝を切除させる」が第一優先で、

それが出来ない場合に限り、3項の通り切除することができます。

第2項は「木の共有者全員の承諾がなくても1人の意思で切っても良い」ということになり、

この点も以前よりハードルが下がりましたね。

「木を共有している兄弟のうち、長男の許可はとれなかったが、次男の判断で隣にはみでている分の枝を切ってもいい」ということです。

（根本から切るのはまた別問題です。隣に越境している枝の分だけ可能です）

また、まだ施行されてまもない法律ですから、どういったトラブルが発生するか、そのトラブルが裁判などでどういう判例を産むのかは未知数です。

「催告」はいつどうやって行ったのか記録を残す、

所有者の確認は謄本を取るなどして、本当にわからなかったのか証明できるように、

急迫の事情についてもきちんと説明できるようにしておいたほうが良いでしょう。

とはいえ、枝がとても高いところにあったり、太かったり、

個人でちょっと枝払い、というレベルではないケースもあります。

業者に頼むにしても、

「なんで人の木の枝がこっちにはみ出てるのに、自分がお金をかけなきゃいけないんだ！」と思う方もいるでしょう。

まずは自治体に問い合わせてみるのが良いでしょう。

平成２７年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されて、

各自治体でも、対策のための窓口を置くところが増えてきています。

「空家等の管理ができておらず、周囲に被害を与えている場合は、自治体でなんらかの処置をして費用を持ち主に請求する」

いった条例があるところも増えてきています。

そういった「空き家に関する窓口」が設けられていなくても、調べてくれたり、連絡をとってくれたりするケースもありますから、

代表電話にかけて聞いてみると良いでしょう。

とはいっても、どこの役所でも対応してくれるわけでもなければ、

連絡を入れたら次の日にどうにかしてくれる…というわけではありませんし、

必ずしもどうにかしてくれる、とも言えません。

空家が増える中、こういったトラブルは増えていくことになるでしょうから、

自治体などが対応をしっかりしてくれるよう、市民が求めていくことも大切ですね。

所有者不明、連絡をしても対応してくれない土地家屋の問題は多数あると思います。

少しでも解決していくと良いですね！

 

 

 

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