知らなかったじゃ済まされない!家を売るとき知らないといけない、家の「過去」のこと。
とある中古住宅、相場の査定額で売り出していたのですが、
突然、3割ほども値段を下げることになってしまいました。
原因は「情報収集不足」です。
近隣の噂から、値下げになるまで。
相続で引き継いで、もう誰も住まないから…ということで売ることになった物件で、
手頃な広さと値段でお問い合わせもたくさんありました。
が、前向きに購入を検討し、自分でも周辺環境などを色々と調べていた購入希望者さんから、
「近所の人からあそこは自殺があった家だって聞いたんだけど…」
と、突然の連絡があったのです。
売主さんからそのような話は全く聞いていなかった仲介会社は、売主さんに事実関係を確認します。
が、売主さんも相続で引き継いだだけで前に住んでいた住人のことにあまり詳しくなく、調査は難航。
近隣の方におうかがいしてみても、お話は人によってバラバラ。
なんとか売主の方に詳しい情報をあたってもらい、どうやら
「室内で事故があり、同居家族が救急車を呼んで病院に運ばれたのち病院で亡くなられた」
ということだったのですが、
その「事故」の原因が判然とせず、結果、「あれは自殺だったらしい」という話が周囲に広まってしまったようです。
調べた限りでわかった事実を購入希望者さんにご説明をしたものの、
最初に噂話で「自殺」と聞いてしまった心証の悪さはいかんともしがたく、
結局キャンセルとなりました。
購入後に周囲から噂を聞いて「聞いてなかった!」なんて話になっては困りますから、
その後の希望者さんや、検討中の皆さんにもご連絡を入れてご説明。
色々と交渉も入り、最終的には価格を3割ほど下げて売買が決まりました。
不動産業者だけでは調べきれない告知事項。
この案件では、相続人である売主さんが前所有者とほぼ付き合いが無かったこともあり、知らなかったということだったのですが、
「以前火災があった」といった情報を知っていたのに伝えて頂けずに後で発覚し、
値交渉が入って当初の予定より安くなった…といった案件もありました。
建物の現状であればともかく、売主さんが告げてくださらない「過去に起きた出来事」を調べるというのは、意外と難儀なことです。
今でこそ事故物件情報を集めて公開しているサイト「大島てる」も有名ですが、あくまで「投稿式」のサイトです。
知ったことをわざわざネットに投稿しようというのは一部の人です。
(ちなみに今現在調べてみても、その物件での噂に関する情報は記載されていませんでした)
近隣の人に聞いてみるにしても、隣接した家の方が知っているとは限りません。
町内全域に聞いてまわる…だとかいうのは予算と労力のつり合いを考えると難しいでしょう。
そして、インターネットサイトや近隣の方から得た情報は決して確実性があるものとは言えません。
歪んで伝わった、名誉棄損になるような情報が出されることもありますので、宅建業者は進んでこのような情報を調査結果として出すことをあまり推奨されていません。
それでも、周辺からなんらかの情報の断片でもあればいいほうで、
例えば「過去に雨漏りがあって、今は修理済み」なんてことは、近隣の方が知るようなことではありませんし、不動産仲介業者だけで調べるのは困難です。
住宅の売買を行う時には、
■雨漏りやシロアリ被害がある、過去にあったなどの物理的な問題
■死亡事故等があったなどの心理的な問題
■周辺環境に異臭や騒音などの問題があること
■耐震基準を満たしていないなどの法的な問題点があること
などを購入する方に告知しなければなりません。
知らなかった、では済まされないこともあるのです。
重要な事項を知らせないことは「告知義務違反」となり、
売買契約が解約になったり、賠償金を支払う事になる可能性もあります。
「よく知らない家」を売ることはトラブルに繋がります。
空家が増えている傾向から考えても、
「相続しただけで、自分は住んでいなかったからよく知らない家」を売却することが、増えてくる時代になると思います。
売却に当たっては、どんな人が住んでいたのか、事故や周辺とのトラブルはなかったか、
修繕の履歴などについても調べる必要があります。
なかなか大変でしょうが、後で売買契約トラブルの当事者になることを考えれば安いものです。
また、自分が住んでいる家が、自分の死後空家になるかもしれないという方は、
将来売却するかもしれないということに備え、
生前から修繕の履歴をきちんと保管しておくことが、相続人の助けになります。
どんなことを調べるか、記録に残しておくべきなのかについては、不動産業者などに聞いてみても良いでしょう。
家の履歴書を作るつもりで、一度親戚や周辺に、家の過去のことを聞いてみる、というのもいいのではないでしょうか。
北海道恵庭市の不動産業者
(株)不動産の窓口
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