不動産の窓口
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2019年09月02日
不動産の窓口ブログ

中古住宅のはなし

小説なぞ読んでおりましたら、「中古住宅の、前の住人が住んでいた空気感が好きだ」といったような台詞を登場人物が言っておりまして。

ありますかね…前の住人の空気感。

小説に出てきそうな「素敵な中古住宅」

少し錆びついた鉄の門扉、庭は今は雑草が伸びているが見事な薔薇などの庭木が彩るイングリッシュガーデン。

ベルのついた玄関ドアをくぐれば吹き抜けに、埃を被ってはいるが雰囲気のいいアンティーク調の照明器具。

丁寧に拭き掃除をされていたのであろう、艶のあるフローリング。木の柱には年を経た風合い…。

 

小説やドラマ、映画に出てくるような「素敵な中古住宅」というのはなんとなーくこういう感じであって、

 

さびさびのシャッターがうるさい車庫、キノコと雑草が生え放題の芝生。

「訪問販売お断り」が貼られた玄関ドアをくぐれば、うすっぺらいプラスチックカバーの中で蛍光管がチカチカと点滅。

絨毯が敷かれていたのだろう跡の形に変色したクッションフロア。木の柱にはシールと共に油性ペンで子供の身長の記録。

 

といった風なものではないわけです。前の住人の「空気感」というよりは「生活臭」という感じですね…。

もちろん、それぞれ前の住人の方にとっては大事な思い出であったりするのですが、購入する側の人にとっては、「そんなことは関係ない」、となってしまいます。

残念ながら、前の入居者の思い出を買ってくれる人はそう多くないのです。

 

やけに前住人の生活臭の残る中古住宅、それはそれで映画に出てきそうではありますけどね。

ジャパニーズホラーとかに。

 

隣の芝生は青く、他国の中古住宅は素敵に見える。

日本は他国に比べると兎角「新築」が好きだ、というのは良く聞く話。

気持ちは分かります。

綺麗で最新の設備のほうがいい、という面は当然あるでしょうが、

先に述べた「ドラマに出てくるような素敵な中古住宅」なんてものがまず無いから、というのも理由の一端ではないでしょうか。

 

私は割と街歩き番組の類を見るのが好きなので、NHKの「世界ふれあい街歩き」なんていうのもよく見ますが、

東西ヨーロッパやアメリカ、西アジア。旧市街や郊外の、中古で購入したという物件のなんと素敵なことか…。

こんな家なら中古でも、多少設備が古くて使いにくくても構いやしない、という感じがあります。

単純に見慣れない雰囲気の構造だから素敵に見えるだけなのかもしれませんが…。テレビで取り上げられるような住宅は、やはりいい住宅だと思われますし。

街歩き番組では、生活の要の水廻りなんてあんまり映しませんしね。

 

それでも「この家は昔は修道院で、修道士が暮らしていたんだよ」などと、

建物の記憶ごと家を気に入っているという姿をいくつも見ていると、羨ましくもなってきます。

日本でも古民家ブームがしばらく続いてはいますが、

あいにくと我々の住む土地、「北海道」と命名されて開拓されてからまだ150年。

歴史と風情のある古民家、なんてものにはそうそう出会いませんし、

そもそもにして古い家はあまりにも寒いという問題点も抱えています。

断熱性能が悪いので暖房の効きも悪い。省エネの気風に反してますね!!

 

古いものを大事に使いたい、という思いはあれど、

日本でここ数十年で建てられた一般住宅というのは、基本的に百年・二百年の耐用年数を考えられてはいません。

「古い冷蔵庫を大事に使うより、新しい冷蔵庫を買った方が省エネで地球にやさしい」なんてこともあるように、

古い家を守るよりも新しい家を建てた方がいい時代なんでしょうねえ…。

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