何書いてあるか全然わからない!「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」て結局なんなの?
アパートを退去するときに、清掃費用や修理費用、払うように言われたお金が思っていたよりずっと高い!
「それなら、国交省ガイドラインを見てみたら?私はそれで敷金を全額返してもらえたよ」
なんて話、聞いた事はありませんか?
結局何が書いてあるのかなるべくカンタンに説明します
「国交省ガイドライン」と呼ばれているものの存在が、一般の方にも広く知られてきた今日このごろですが、
「長いし、専門用語みたいなの並べられても、何書いてあるかよくわからないよ!」という方もいらっしゃると思います。
国交省のガイドライン…正式名称は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
PDFファイル174ページもあります!
細かいところは、どうしても本文を見てもらわないといけないところもありますが、
簡単にでも、みなさんに知ってもらえるように、ちょっとわかりにくい用語などを説明したいと思います。
文章長いよ!!読めない!!という人も太字のところだけ読めばなんとなーーくわかるようにしてみた…はずです。
ガイドラインは「原状回復のお金を誰が負担するべきかの大まかな指針」
まず、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」がこちらです ↓↓↓
まず「原状回復(げんじょうかいふく)」って何かというと、部屋を借りる人の目線で言えば、
「借りているアパートなどを退去するときに、借りた部屋に自分がつけてしまった汚れや、こわしてしまったものを直すこと」です。
本を借りて、汚したり破いてしまったら、弁償(べんしょう)しないといけないのと同じです。
原状回復は「元の状態に戻す」という意味です。
本はだんだん色があせたり黄ばんだりします。
人が手にとって読む以上は、多少開きグセがついたりもします。
同じ様に家も、自然とだんだん色あせたり、
人が生活する以上はこすれてすり減ったりする部分もあります。
退去の時にこの「生活していて自然についた汚れやキズ」を直すお金をだれが支払うべきなのか、よくトラブルになっていました。
そこで作られたのが、「国交省ガイドライン」というものです。
ガイドラインは「大まかな指針(ししん)」、「大体こういう風にするのがいいんじゃないかな」というような意味で、
絶対に守らなくちゃいけない、というものではなかったりします。
法律、とかとはまた違うものです。
退去をすることになって「そういえば汚れてる!お金かかったらどうしよう!」
と思って国交省ガイドラインを見てみる人が多いのですが、
「最初に入居するときに、先に原状回復のお金をどうするか決めておこうね。
その決めごとが、どちらかが一方的に有利にならないための案、作ったから参考にしてね」
というのが本来の使い方です。
あんまりにも一方的なお金の請求をされたときは助けになってくれますが、
ピンチのときに助けてくれる便利な道具ではありません。
「国交省ガイドラインは場合によっては通用しないよ」という話はこちら
↓↓↓
ガイドラインのメインは「経年変化や自然損耗は大家さんが負担したほうがいいよ」ということ
国交省ガイドラインの、メインというのは、
時間がたつと自然に変わる部分や、使っていたら自然とすりへったりしてしまう部分は、「原状回復(元に戻す)」にはふくまず、大家さんがお金を負担するのがいいよ!
自然と発生する以上のキズや汚れがあったら、入居者さんがお金を負担しましょう!
ということです。
時間がたつと変わる部分 のことを 経年変化(けいねんへんか)
自然とすりへったりしてしまう部分 のことを 自然損耗(しぜんそんもう)
と言います。
「部屋を借りている人が、通常の住まい方、使い方をしていても、発生する」と考えられるもののことをこう呼んでいます。
経年劣化(けいねんれっか)、という言い方も一般的です。
「通常の住まい方、使い方」というのは人によってかなり差があるのですが、
大まかには
「ちゃんと掃除をして」、
「換気もきちんとして」、
「建物や設備に穴をあけたり傷をつけず」、
「乱暴な使い方や本来と違う使い方をせず」、
「なにか不具合があったら大家さんに報告して」、
「契約書で禁止されたことをしない」
などなどを守った状態です。
普段そんな丁寧にあつかわないよ!という人もいるかもしれませんが、アパートは「借りている部屋」なので、
自分のものよりも大切にあつかうのが「通常」だろう、と考えられています。
「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)/善良なる管理者の注意義務」といいます。
善管注意義務や具体的な「通常の使い方」についてはこちらの記事を、よければ読んでみてください。
↓↓↓
長く住んでいれば住んでいるほど、この変化、損耗というのは大きくなります。
長く住んでいる場合や、その人が住む前からずーっと変えていないもののキズや汚れは、
入居者さんが責任を負う割合を減らしましょう!
というようなことがガイドラインには書いてあります。
入居者さんがキズつけてしまった壁紙の貼り換えに1万円かかるとしても、「何年使われた壁紙か」で入居者さんとオーナーさんの負担割合を変えましょうね、ということです。
入居者さんが悪質な理由でキズや汚れをつくった場合はまたちょっと違ってきますが…とりあえず今回はそれは置いておきまして。
また、
「普通に家具を設置したことによるへこみ」だとか、
「冷蔵庫の裏の電気焼け」などの具体的な例をあげて、
生活によって自然に発生するものなので、大家さんが修理を負担するのが妥当じゃないかな、
というようなことも書いてあります。
しかし一方で、
「あらかじめ契約書にきちんと書いてあることだよ」
「そして、一方的に借りる人にとって不利な内容ではないよ」
ということが認められれば、
この経年変化、自然損耗の分を入居者さんが負担する契約というのは、認められることがあります。
こまかく説明するとちょっと大変なので、借主さんは、
「経年変化、自然損耗の分のお金は払わなくていい」
「でも契約書によっては払わないといけないときもある」
と大体、なんとなく、おさえておいてください。
借りる人も、貸す人も、少しだけ知っておこう!
と、色々説明しましたが、ちょっとはご理解の助けになったでしょうか…?
基本的には、国交省のガイドラインというのは、
入居者さんに理不尽(りふじん)なお金の請求がされないように、というものですが、
大家さんの大切な財産ですから、入居者さんがひどい扱いをしたらそのお金は請求する内容にもなっています。
入居者さんも、大家さんも「こういう考え方が、今のお部屋の賃貸の世界では広まっているんだな」ということを知っておくと、
契約をするときに「この契約は変だな」と気付いたり、
退去するときのトラブルが減らすことに、つながるはずです。
ちょこっとでも知識があるだけで違ってくることもありますので、
少しでも知ってもらえると幸いです。
詳しいことは、仲介した不動産業者や、物件の管理会社、消費者センターなどの相談先がサポートしてくれるはずです!
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