賃貸住宅「家主と店子の直接契約」のメリット・デメリット
インターネットの発達により、「家主が直接、賃貸住宅の募集をする」ことや、
「家を探している人が直接、家主に連絡を取る」ということが昔に比べて容易になりました。
しかし、気を付けなくてはいけない部分も多いです。
どんなメリット・デメリットがあるのかを知っておきましょう!
インターネットのおかげで直接契約が身近に
以前はオーナーが直接募集をする…となると、物件の窓に連絡先を貼りだしておいたり、
個人で広告を出すしかありませんでしたが、
現在はインターネットを活用して、自分でホームページやブログを作成したり、
掲示板、SNSなどを利用して募集を行っているオーナーさんも増えています。
オーナーが直接募集するためのネットサービスなどもあります。
家主と店子の直接契約、というのは、
間に不動産会社を挟まず、二者の間で契約を結ぶというものです。
不動産会社を挟まないと賃貸契約ができない…と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、二者だけで契約するのが本来の形といえば本来の形ですね。
特に若い世代の情報に敏感な方々は、うまく活用して物件を契約されているようですが、
彼らが直接契約を選ぶ理由、メリットをまずは見ていきましょう。
直接契約のメリット
メリット、といっても貸す側にとってのものと、借りる側にとってのものがあります。
お互いにとって、直接契約で生じるメリットは金銭面のことが大きいです。
また、「直接やりとりできる」こと自体もメリットとなります。
■貸主のメリット
・不動産会社に払う仲介手数料、広告料などが不要
・借主の入居にあたっての希望、要望を直接聞ける
・借主がどのような人物か直接知ることができる
・直接問い合わせにきている相手なので、入居する可能性が高い
■借主のメリット
・不動産会社に払う仲介手数料が不要
・貸主に直接、家賃、初期費用、入居前の修繕箇所などの交渉ができる
・貸主がどのような人物か直接知ることができる
他にも、不動産会社が管理に入っている場合には、
特に大きな管理会社では色々な付帯サービス(インフラの一括案内、部屋の消臭、浄水器や水のサーバーのサービスなど)がついている場合があり、
これらの営業が無いのが良い、という方もいらっしゃるかと思います。
こういった付帯サービスを、個人オーナーさんが一切やっていない、というわけではないですが。
直接契約のデメリット
つづいてデメリットですが…「問題なければ発生しないかもしれないけれど、発生した場合は大問題!」ということが多いです。
■貸主のデメリット
・募集、問い合わせ、案内、契約書作成、入居費用の管理などを自分で行う必要がある
・入居審査(支払い能力があるか、本人確認、申込内容に虚偽がないかどうかなどの判断)を自分で行わなければならない
・入居を断る場合直接言わなければならない
■借主のデメリット
・個人が発信している情報なので、正しいかどうかを自分で精査しなければならない
・条件交渉などを自分で直接行わなければならない
・重要事項を説明する義務がないので、不利な内容などを説明してくれない場合がある
・契約内容が不動産業界などが標準で作っているものとまったく違う場合がある
・大家さんがかならずしも賃貸契約や法律に詳しくなく、自分の作った条件を押しつけてくる場合がある
・いざトラブルが起きたときの相談先、間に入ってくれる存在が少ない
直接交渉のほうが手っ取り早くていい!という方もいらっしゃいますが、
これから契約するとは決まってないのに直接話すのは避けたい方も多いですよね。
人によって向き、不向きがあると思います。
また、「相手が嘘を言っていないか」「問題のある人物ではないか」を個人が判断しなければならないのも難しい部分かもしれません。
契約にあたって重大な問題があるのに告げない、嘘をつく。
他人の名前を使っている。
反社会的勢力と関わりがある。
などを見極めるのは大変です。
不動産会社を通せばすべて見極められるというわけではないですが、契約にあたって公的資料などを取り寄せたり提出を求めたりしますし、
過去の情報の蓄積、不動産会社同士の横のつながり、警察の巡回や指導もあり、
ある程度、不審人物やトラブルを起こしやすい人を発見することに慣れています。
そして直接契約で最も心配なのが、契約後のトラブルに対して十分な契約内容になっていなかったり、間に入ってくれる仲介者、相談先がないことです。
家賃滞納、設備の故障と修繕、退去時原状回復費用の問題など、
不動産会社を挟んだ契約ですら、年に何件ものトラブルが発生しています。
いわんや、お互いに知識が豊富とはいえないもの同士が契約を交わした場合をや、です。
貸主・借主双方、
相手にあまり強く言えない方や、モメごとではすぐ折れてしまう側の方、
なんでも言われたことを信じてしまうタイプの方、
賃貸契約に関する知識が十分に無い方にはオススメできません。
デメリットの軽減方法はあるけれど…心配なら不動産会社に仲介を!
入居審査と支払滞納への備えについては、個人でも使える賃貸保証会社などを利用したり、
契約書は国交省が出している賃貸住宅標準契約書をベースにするなどして、
上記デメリットのリスクは軽減することも可能です。
しかし標準契約書はあくまで「標準」であり、地域性や慣習などとは違う部分も多いですし、
賃貸契約に関わる世情は変化しており、知識のアップデートも常に必要になるものです。
数年前の常識が今は一件の裁判事例で覆されて通用しない、ということもままありますから、対応する前によく調べる必要があります。
直接契約はお互いが善良なら問題はないですが「悪意に弱い」面があります。
単に「入居者募集の窓口が増える」というだけではなく、
不動産会社を間に挟んだ契約の役割は、悪意への備え、セーフティネットでもあります。
少しでも難しそうだな、と思ったら、仲介契約をおすすめします。
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