アパート・借家を「住居兼お店・事務所・オフィス」として利用することはできるのか
賃貸アパートをお探しの際、
「自宅でマッサージ屋をやってて、引っ越し先でもやるつもりなんだけど」
「仕事はウェブ関係で在宅なので、入居申込み書の勤め先欄はどうすれば…?」
なんて方もいらっしゃいます。
そして昨今は会社側からテレワークを求められることも…
賃貸アパート・貸家で勝手に「事業」をしても大丈夫?
「マッサージ屋」「学習塾や趣味などの教室」「個人事業の事務所」
アパートや貸家をこういった場所に利用したい、というお問い合わせはよくあります。
しかし、大家さんになんの許可も得ずに「居住用」のものを「事業用」として利用すると、トラブルになる恐れがあります。
居住用の物件は 「居住用の賃貸借契約書」 で契約されており、
契約書には「居住の用以外での使用は禁止」であることが、多くの場合記載されています。
退去を求められたら拒むのは困難でしょう。
ですが「居住の用“にも”使用している」ならどうでしょうか?
契約書に書いてあるとはいえ、「事業に使っているが、ちゃんと部屋に住んでもいる」のであれば、
必ずしも大家さんの明渡し要求は認められるというわけではありません。
法律はある程度常識的な範囲の使用であれば、人が家に「住む」という権利を守ります。
(まったく住まずに事業用としてのみ使用しているのであれば話は違います)
しかし、大家さんの心象が悪くなる可能性はあります。
借りる時には契約前に事前に相談、
借りてる最中に事業をはじめたいならはじめる前に相談、が大切です。
契約解除事由になるのは「信頼関係が壊された」場合
2020年、感染症によって在宅ワークなどを多くの人が求められる時代になりました。
その後もテレワークを継続する会社もあります。
「事業利用不可」なのに、在宅ワークをすることに問題はないのでしょうか。
上記で
>「事業に使っているが、ちゃんと部屋に住んでもいる」のであれば、必ずしも大家さんの明渡し要求は認められるというわけではありません。
と述べましたが、ではどんな場合には大丈夫で、どんな場合はダメなんでしょうか?
ケースは人それぞれなので一概には言えませんが、
家でパソコンなどを使っての在宅ワークや、内職をしている、といった場合に契約解除が認められることはまず無いでしょう。
多数の人の出入りや、騒音や異臭を出したり、部屋を改装することなどが無いと考えられるからです。
では、「学習塾」として使用する場合はどうでしょうか。
教室には子どもたちが出入りすることになります。
歩き回る音が階下に響いたり、喋る音が隣室に聞こえるかもしれません。
通うために使う自転車が沢山置かれたり、送り迎えする親御さんの車がアパート周辺の道を塞いだり、一時的に空いている駐車場に勝手に停めてしまったりするかもしれません。
「マッサージ屋」として使用する場合はどうでしょうか。
使いやすくしたり見栄えをよくするために、部屋を改装することになるかもしれません。
マッサージ用のオイルが零れて、部屋が汚れたりするかもしれません。
仕事帰りの人などを客層として狙って夜間も営業するという場合、夜遅くに人が出入りする音が周囲に響くかもしれません。
周囲の方に迷惑をかけたり、
借りている物件を勝手に改装するなど傷つけたり、
居住用の物件としての常識的な使用方法からはずれている、
それを注意しても一向に改善がみられない。
こういった場合に信頼関係が壊されたとみなされ、退去事由となります。
「会社からパソコンを使って在宅ワークをするよう指示された」などといった場合は、
きちんとした理由があり、迷惑にもなっていなければ、もし訴えられたとしても不利になる可能性は低いでしょう。
壁が薄い家の場合は、音声通話のときに余り大声で喋らないように配慮するなど、迷惑にならないよう気を付ける必要はありますが。
この他、「自宅youtuberになる!」といったケースに関する記事もありますので、ご参照ください ↓
事業所利用の許可を得る場合の注意点
騒音や不特定多数の出入り、室内の改装が必要になる事業を行う場合は、
事前にどの程度の人数が出入りするのか、何時まで営業するのか、改装内容はどういったものか…といったことを大家さんに申告し、許可を得るべきです。
来客による騒音や車の出入りなどの問題が考えられる場合は、自分がきちんと来客者に対して指導を行うことも説明しましょう。
もちろん必ずしも許可を得られるとは限りません。
特に、最初から許可を得て入居するならともかく、
一度居住用として入居してから途中で事業をはじめる、というのであれば、許可する旨の書面を作って、取り交わすことになります。
(「いいよいいよ」と口頭で了承するオーナーさんもいるかもしれませんが、
将来的に相続や売買で大家さんが変わる可能性もありますし、
すっかり忘れて「そんなことは許可していない」と言われると困りますから、
簡単なものでもいいので書面を交わすのをお勧めします)
手間がかかりますから、大家さんとしてはなるべくやりたくはありません。
入居が決まりやすい立地や条件の物件であれば、「これを理由に退去されても、また募集すれば事業用として使わない人が入居してくれる」という考え方もあります。
途中から許可を得るのは簡単な話ではありません。
許可を得ずにやった場合のリスク・問題点
許可を得るのは簡単ではない……
なら、許可を得ずに行ってしまおう!という方もいるでしょう。
看板なども出さず、人の出入りも騒音もなく、犯罪行為でもない健全な事業であれば、あまり気付かれることもないですし、大きな問題にはならないかもしれません。
居住用として部屋にきちんと住んでおり、家賃も支払日までにきちんと払っていれば、不審に思われるということもそうそうないでしょう。
契約書上は違反行為と書いてはあるので、不動産会社的には大きな声で良いとは言えないのですが…。
一方、ドアや窓に看板を出したり、人が多数出入りしたり、頻繁に多くの荷物が出入りするようなものであれば、周囲もすぐ気がつきます。
周囲の方からの「人が出入りしていてうるさい」「なにか事務所にしてるみたいだが怪しい事務所じゃないのか」などといった連絡が入ることもあります。
こうなると大家さん側としては、いくらきちんと家賃を払っている入居者であろうとも、何らかの対策をとらざるをえません。
迷惑をかけないように厳重に気を遣わなければ、すぐにトラブルになってしまいます。
どうしてもやるのであれば、「自宅でやるのは一時的なもの」と決めて、早めにきちんとしたテナントなどを借りるべきでしょう。
なんにせよ、こっそりやるのは発覚したときに「何か後ろめたいことでもあるのか」と思われてしまいますから、あまりお勧めできることではありません。
賃貸借契約は金銭だけのやりとりの問題ではなく、信頼関係あって成り立つものです。
賃貸借契約という「約束」を破るわけですから、「この人は約束を破るような人だ」と思われてしまうわけです。
相手の不信感を高めてしまうと、些細なことでも見る目が厳しくなり、生活がしにくくなってしまいます。
必ず許可を得てはじめるようにしましょう!
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