「家を貸し出そう」というときに考えたい「いつまで貸すか」について
全国的に空き家が増える中、貸しに出すという選択をする人がいます。
一方、ずっと貸してきたけれど自身の年齢や建物の老朽化で「やめたい」という人もいます。
「やめたいけれど、簡単にやめられない」と苦しむ人を増やさないためにも、
賃貸をはじめる前に考えたいのが「いつやめるのか」です。
今の法律は「住んでいる人が住み続ける権利」をきちんと守っています。
空き家を所有しているので貸しに出したい、というご相談をいただくことがあります。
北海道恵庭市は賃貸戸建の需要が高いものの、なかなか供給はないので大変ありがたいです!
しかし、単純に家を貸すと言った場合、基本的には「入居者が退去を希望するまでずっと」貸す契約にしてしまいがちです。
退去は10年後になるか、20年後になるか…世代交代して住み続ける家族の方もいらっしゃるでしょう。
一戸建て住宅の所有者の方が「空家を貸しに出そう」という場合、
賃貸経営を仕事に…というよりは、「空けておいてももったいないので、貸そう」というようなお気持ちの方が多いです。
もちろんそれ自体は問題ありません。空けておくよりも貸すなり、売るなりしたほうが、社会問題になっている空き家トラブルも発生しません。
が、賃貸経営についても、昨今の賃貸契約についても、知らない方が大半ですので、
「簡単に入居者に退去してもらえる」と思っており、10年、15年もしたら退去してもらって家を取り壊そう…といった考えでいらっしゃる方も多いのです。
たしかに昔は、オーナーが出てと言えば入居者に非があろうがなかろうが立ち退くのが当たり前でした。
しかし、現在はそう簡単に入居者に立ち退いてもらうことはできません。
入居者の「住む権利」が、法律で守られているためです。
「もう賃貸やめたい」ときに立ちはだかる契約や立ち退き料の壁
こちら↑ は、退去するように言われた入居者さん向けに書いた記事ですが、
簡単に説明しますと
「普通借家」という契約形態の場合、「正当事由」がなければ大家は入居者を退去させることはできないし、
その「正当事由」は「もう建物が古いから…」といった単体の理由では弱く、立ち退き料などの支払いをすることでようやく認められる、
ということを主に書いた記事です。
現在賃貸を行っている戸建オーナーさんでも、「齢をとって管理も大変になってきたから、2~3年後には賃貸をやめようと思っている」等、気軽におっしゃる方は多いです。
が、実際にはやめたくてもそう簡単にやめられないのが賃貸契約。
入居者さんが入居継続を希望された場合に、もう管理が難しいということであれば、
■どうにか交渉して、立ち退き料などを支払って出て貰う
■入居者さんが可能であれば買い取ってもらう
■賃貸中の貸家…収益物件として売却
方法としては基本的にこの3つになると思います。
↓こちらもご参照ください
▶「賃貸している家を売りたい!」…けど、そう簡単ではありません。
将来を考えた契約形態を選ぼう
どのくらいの期間、貸し出すことを想定しているのか。
自分が続けられなくなったときに引き継ぐ人がいるのか。
まずはこれらの目途が立たないと、後々「もうやめたい」「退去してもらいたい」というときに苦労することになります。
特に自分が家に戻ってくるようなつもりもないし、
きちんと今後屋根や外壁などの大規模修繕も定期的にしていくつもりがあり、
引き継いでくれる人も当てがある、もしくはいざとなったら安く売っても構わない。
ということであれば、普通借家契約で問題はないでしょう。
普通借家契約では、基本的に入居者に住む意思があり、貸主借主双方の信頼関係が続く限り、契約が継続します。
入居者さん側としても、多くの方は普通借家契約のほうが躊躇なく申込みもできて安心です。
将来的には自分が住みたい、
もう古いし、家を長くもたせるための費用をなるべくかけたくはない、
引き継ぐ人もいない。
ということなら、契約期間の定められた定期借家契約にしたほうが、将来的には安心ではないかと思います。
定期借家契約は、契約終了までの期間が定められており、期間満了で解約。
再契約には双方の合意が必要となるので、貸主が断れば再契約はできません。
問題点としては、中途解約が原則できないことや(借主側からはできるように特約などを設けている場合もあります)、
契約期間が定められていることにより、入居者が決まりにくいことが挙げられます。
一般的な相場よりも家賃を下げるなどの対応が必要かもしれません。
なかには定期借家の方が良い、という方もいるので地域の需要については不動産屋などに聞いてみると良いでしょう。
先のことはまだわからない部分も多いでしょうが、
将来のことを考えた契約形態を最初に考えておくのがオススメです。
契約は相手がいることであり、ましてや衣食住の「住」を提供する側である貸主というものは、「今すぐやめる!」というわけにはいかないものです。
しかし、貸すこと自体は、割と簡単な手続きで出来てしまいます。
周囲とも相談して、いつまで賃貸をしたいのか、できるのか、できなくなったあとはどうしたいのか、
ちょっと遠い先のことかもしれませんが、ぜひ考えていただけますと幸いです。
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