マンションの建替えは困難?マンション(恵庭市・千歳市・北海道)は今が売りどき?
分譲マンションの老朽化による問題が社会現象にもなっている昨今、
「マンションの大規模リフォーム・建替え」について所有者も考えなければなりません。
しかし、一人の意思で建替えはできません。
建替えを負担するよりも売ってしまったほうがいいのかと悩む方も多いかと思いますが…。
日本のマンションの現実
日本のマンションは694.3万戸あり、約1,500万人が住んでいます。
(分譲マンションストック数の推移/2022年末/国土交通省)
(ここでいうマンションは3階以上のRC.SRC.S構造の区分所有建物)
棟数は公式なデータはありませんが、一棟の平均戸数50.65戸とすると13.5万棟と推定されます。
(単棟あたりの平均戸数/2018.4/マンション管理業協会)
築40年以上のマンションは125.7万戸(2022年末)です。
そして、10年後には260.8万戸、20年後には445万戸になると予想されています。
マンション5.5棟に1棟は築40年以上
125.7万戸/694.3万戸(2.5万棟/13.5万棟)とは、約5.5分の1となります。
言い換えれば、
マンション5.5棟に1棟は築40年以上のマンションと推定されるわけです。
(築40年以上のマンションストック数の推移/2022年末/国土交通省)
築30年のマンションは今が売りどき
うちのマンションはまだ30年だから大丈夫?
10年後は築40年以上のマンションは、現在の2倍となる260.8万戸、20年後には3倍となる445万戸と予測されています。
現在築30年のマンションは10年後には築40年組として260.8万戸の仲間入りをすることになります。
不動産の価格は、需要と供給によって成り立っていますので、売り頃の物件が1戸しかない市場よりは、260.8万戸ある市場のほうが、当然、安くなってしまいます。
また、建物は日々築年を重ね劣化していきますので、今日より明日、明日より明後日、1年後より5年後、5年後より10年後の方が価値は下がっていくわけです。
(東京などの大都市では五輪などのイベントや地価の高騰で逆転現象が起こる場合もありますが、北海道では難しい現象かもしれません)
ちなみに北海道恵庭市の代表的なマンションの築年数は次のようになっています。(2023年11月現在)
現在築40年組は少ないですが、10年以内に築40年組の仲間入りをするマンションが多いです。
■松屋ビル(恵庭市栄恵町)
建築年月:1982年4月
築41年
■マック恵庭コート(恵庭市末広町)
建築年月:1990年6月
築33年
■ピースオブマインド恵庭(恵庭市相生町)
建築年月:1991年6月
築32年
■コートドエル恵庭(漁町)
建築年月:1991年1月
築32年
■サーム島松(島松本町)
建築年月:1991年12月
築32年
■マック恵庭本町コートA(恵庭市本町)
建築年月:1993年3月
築30年
■コロナード恵庭(恵庭市相生町)
建築年月:1998年2月
築25年
日本のマンションの15%は旧耐震基準による建物
もう一つ問題となるのが、日本のマンションの103万戸が旧耐震基準での建築となっていることです。(分譲マンションストック数の推移/2022年末/国土交通省)
旧耐震基準だから全ての建物が耐震性に問題があるとはいえませんが、少なくても今の耐震基準を満たしているかは定かではない、ということになります。
今後の建替えの判断での、揉める一つの要件となりますし、現在の中古マンションの売買市場では、住宅ローン融資に旧耐震基準に制限をかけている金融機関も多いです。
つまり、マンションを売ろうとしても、買い手側がローンを使えないために買い手が限られることになります。
昭和56年5月31日以前(旧耐震基準)に建築されたマンションをお持ちの方は今後の対応についてご検討されるべきです。
これは価値や価格の問題だけではなく、後述する建替えの難しさ、負担金の大きさなどを考慮し、今のうちから対策することが望ましいです。
マンションは何年大丈夫?
名古屋城天守閣の木造再建について
余談となりますが、今、名古屋城の天守閣を木造にて再建する計画があります。
その途中には民意を問う市長選挙もあり、ある意味公約ともなりましたが、いまだに着工にはいたっておりません…
名古屋城は1945年の名古屋大空襲によって天守閣が焼失しました。
1959年(S34)、戦後14年の時を経て現在の鉄骨鉄筋造で再建されました。
それから60年弱経過した2018年に耐震性などを理由に現在は閉館しています。
木造復元にて計画中ですが、文化庁からの許可は5年経った今でもおりていません。(2023年11月現在)
公共事業として鉄骨鉄筋造(SRC)で建築された名古屋城天守閣。
その後も公共施設として日々管理され、お金をかけてメンテナンスもされてきました。
その名古屋城が築60年弱で耐震性を理由に大規模修繕ではなく、建替えをするため閉館しました。
SRC造やRC造のマンションが、60年で建替えしなければならない…というわけではありません。
もしかしたら、100年大丈夫かもしれません。
肝心なのは「もしかしたら大丈夫かもしれない」ではなく、そのマンションには危険性がなく、100%安全が担保されているのかということではないでしょうか。
それが耐震性であっても、老朽化であってもです。
そして、マンションを売る場合は、そのX年になってから、またはX年の近くになってからでは、価値も価格も一気に下がる可能性は高いと考えられます。
マンションの建替え平均は築40.3年
さて、名古屋城天守閣が築60年で建替えを申請中ですが、実際に建替えをしたマンションの平均築年数は平均で築40年となっています。
前項の通り、マンションが60年しか持たないとはいえません。
でも、60年で耐震性に問題ありとして建替えをしている例(名古屋城)があるのも事実です。
定期的なメンテナンスや一定期間で行われる大規模修繕をしていても、名古屋城天守閣のように、いずれは建替えが必要となります。
実際に今まで建て替えをしたマンションの平均築年数は40.3年となっています。
(東京カンテイ/2022.10.31)
マンション建替えには5分の4以上の決議(賛成)が必要
マンションの建替えは、区分所有法によって、区分所有者および議決権の4/5以上の決議が必要です。(2023.11現在)
これは、かなりハードルが高いルールではないでしょうか。
50戸のマンションの場合、40戸以上の区分所有者の賛成と4/5以上の議決権が必要となります。
議決権とは、原則、専有面積に応じて割り当てられる権利となります。
同じマンションでも2LDKのお部屋と3LDKのお部屋では、所有する議決権は異なることになります。
建替えの負担金は2,000万円
また、ハードルはルール上のものだけではありません。
建替えに際して負担する一戸あたりの金額は平均1,941万円(2017年-2021年の建替え時負担金)といわれています。(日経電子版/2023.2.10)
これも建替えのハードルを高くしている要件の一つです。
マンションというのは「一生に一度の買い物」だと思って買った方も多いでしょうから、
そこからさらに2,000万円を、簡単に出せる方はそう多くないでしょう。
日本で建替えられたマンションは282棟だけ
日本全国で建替えをしたマンションは282棟しかありません。(2023年3月時点/マンション建替え等の実施状況/国土交通省)
東京63%、神奈川千葉埼玉15%、大阪兵庫16%、北海道は0%です。
北海道は札幌を含めて、マンションの建替えは過去1件もありません。(2023年3月現在)
マンションの建替えは大都市でのみ成功することができる、ともいえます。
これは、不動産価格が高い、という理由が一番の理由になるのではないでしょうか。
たとえば、40年前に5階建てで建築されたマンションを、今年10階建てで建替えた場合どうなるでしょうか?
40年前に比べて建築コストは高くなりますが、不動産価格は上がっています。
さらに、5階建てから10階建てになることで、新しくできるお部屋を売ることができます。
それが大都市だったらそれなりの立派な価格で売れることになります。
そうすることによって建替えの費用を捻出し負担額を減らすことができます。
さらに、都心の場合は資産価値を増やすこともできますので、
負担金に対しても、積極的な投資をはかることができます。
(築40年の5Fマンションより、新築10Fマンションの方が価値はあがりますよね)
つまり、
費用負担2,000万円も問題なく、
お部屋の所有権などの権利も全く問題(相続未登記、相続人不明など)なく、
健康面でも心身共に問題(認知症や寝たきりなど)のない人、
そして、建替え期間中の引っ越しも問題(高齢や信用情報でお部屋の入居審査の難しい人や健康上引っ越しが難しい人など)のない人が、
40/50人または議決権以上、賛成(権)としている場合のみ、
マンションは建替えることができるのです。
恵庭市のマンションは今が売るチャンスです
今回のお話はいかがでしたか?
恵庭市のマンションは築30年超えが多くなっています。
建物は今この瞬間が1番高いのは事実ですが、
今日のコロナや戦争などのイレギュラーによって、供給不足、資材高騰などで
中古住宅や中古マンションなどの建物の価格がコロナ前に比べてあがっています。
さらに、建替え時のゴタゴタや負担金など、将来を見据えたマンション事情を考えると、
今が売りどきということをご理解いただけるのではないでしょうか。
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