自分で書く?公証人に依頼?民法改正で変わった「遺言書」のルール
2018年7月に相続に関する民法改正案が成立し、2019年1月から段階的に施行されてきました。
ちなみに、今回の相続に関する法律改正は40年ぶりとなります。
民法改正後の相続に関する内容も、2020年5月現在、早いものでは既に1年が経過したことになります。
「遺言書」は難しくはない!そもそも「遺言書」って?
さて、今回の改正で大きく変わり便利になったのが「遺言書」です。
「ゆいごん・ゆいごんしょ」と一般的にはいわれますが、正しく(法律上の慣習)は「いごん・いごんしょ」となります。
「ゆいごん」とは、法律上の有効・無効に関わらず、「生前」に死後のことについて、残される人たちに言い残すことです。
書でも、ビデオでも録音でもなんでも「ゆいごん」となり、書で残すのが「ゆいごんしょ」となりますが、この時点では法律上の有効無効の有無は関係がないわけです。
ですので、私たちが「相続」を「争族・争続」にしないためには、生前にしっかりとした「遺言書」の作成が必要です。
そのための「遺言書」は「いごんしょ」と発音・解釈しております。
ちょっとわかりにくいでしょうか。つまり、
Q.「ゆいごんしょ」は何を書けばいいの?
A.なんでも自由に書いてください。ただし、法的効果は期待できません。
Q.「いごんしょ」は何を書けばいいの?
A.法律に沿って、決められた内容をそれぞれ穴埋め・ご記入ください。
ということです。
きちんと法に則った形で残すためには、「遺言書」はルールに沿って書かなければなりません。
2種類の遺言書、「自筆」と「公正」のメリット・デメリットは?
一般的な遺言書は主に2種類です。
自分で作成する「自筆証書遺言」、
公証人が作成し公証役場で保管する「公正証書遺言」、
です。
それぞれ、どんなメリット・デメリットがあるんでしょうか?
■公正証書遺言のメリットとデメリット
メリット
1.書式の不備や紛失の心配がない
デメリット
1.証人(相続人や親族以外)2人が必要
2.作成手数料(遺産額に応じて)及び、内容修正にも手数料が発生する
■自筆証書遺言のメリットとデメリット
メリット
1.公正証書遺言のデメリット1と2がない
デメリット
1.煩雑である、しかも不備があるかもしれない(無効になる可能性がある)
2.保管場所
民法改正による「自筆証書遺言」の変更点
しかし、今回の改正により、自筆証書遺言のデメリットである煩雑さが大きく軽減されました。
1.煩雑さの大幅軽減
「財産目録」が従来の手書きから、「手書き」、「パソコン作成」、「代筆」、
また財産詳細としての預金通帳や保険証券は「コピー」でもよくなり、
不動産については「登記事項証明書」の添付でよくなったことにより、大きな軽減となりました。
2.保管場所も安心
自筆証書遺言の困ることの一つに、保管場所がありました。
死後に家中探しても見つからないかもしれない。
遺産分割協議が終わってから遺言書がポツリと出てきてしまった。
生前にはあまり見られたくない。
などなど、保管場所に困ることが多かったのですが、今回の改正によって、そこも軽減されました。
「自筆遺言書は法務局で保管してもらえる」ことになったのです。(2020年7月10日より施行)
法務局にて保管する際に、一定の形式などを確認してくれるので不備の防止にもなります。
また、法務局での保管のため、偽造などの心配もなく、本来必要である相続発生後に遺言書を家庭裁判所に持参し、内容を確認してもらう「検認」手続きも不要となります。
「自筆」にしたい!でも相談先は?「相続のプロ」は誰?
といったわけで、「自筆証書遺言」にしようかな、という方も今後増えていくかと思います。
しかし、「自筆」のための法律はやさしくなったといっても、相続は難解なことも多いものです。
相続に関する相談先は、どうすればいいのでしょうか?
弁護士は、「争族・争続」の際の法廷内での戦いのプロです。(もちろん、その事前予防のためのプロでもあります)
司法書士は、みんなで話をまとめたあとに「登記」をするプロです。
税理士は、みんなで話をまとめたあとに、「相続税」を申告するプロです。
じゃあ、「相続」のプロは誰なんでしょうか?
(「どう考えても争族になる!」というようなら弁護士さんがいいかもしれませんが、そういった場合は公正証書遺言のほうがいいかと思います。)
相続といっても、土地・家屋・有価証券・現金など…色々なものがあります。
しかし、相続財産の42%~55%は不動産です(平成20年から29年の国税庁「相続税の申告状況について」より)。
不動産相続のプロは、不動産相談の窓口がある不動産会社となります。
北海道の不動産相続の事前相談、事後のお困りごとなど、
ご相談は(株)不動産の窓口までお寄せください。
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