不動産リースバックのトラブル
最近、(不動産)リースバックってよく耳にしませんか?
メリットもありますが、当然、デメリット、そしてトラブルも増えてきてます。
国土交通省でもトラブルへの警鐘をしており、令和4年6月には「消費者向けリースバックガイドブック」を公表しております。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001489269.pdf
また、国民生活センターでもトラブル事例増加にともない、
「自宅を売っても住み続けられる? リースバックは慎重に検討して!」と注意喚起しています。
https://www.kokusen.go.jp/mimamori/pdf/shinsen453.pdf
リースバックとは
リースバック(セール&リースバックともいう)とは、
自宅を売却して現金化し、自宅から引越すことなく賃貸物件(貸家)として住むことができる取引形態のことです。
(自宅だけに限らず店舗や事務所などの事業用不動産を対象としているところもあります)
自宅を売却してしまうため、所有権は業者に移転されます。
あくまでも家賃を払って、元の家を借りる形です。
賃貸借契約になるため、固定資産税や建物の火災保険料などは払う必要がなくなります。
(賃貸借契約のため入居者としての火災保険は加入が必要)
賃貸借契約は「普通借家契約」の事業者と「定期借家契約」の事業者がありますが、
後者の場合が多く、慎重な判断が必要となります。
また、契約によっては売却した自宅を買い戻せる場合がありますが、
買い戻す際の金額は、売却時の金額より高めに設定されていることが多いので、
ここでも慎重な判断が必要となります。
リースバックの場合、
「自宅を売却して資金を得て、家賃を払いながら、そのまま自宅に住むことができる」という大きなメリットがある一方、
契約内容や仕組みが複雑なため、トラブルも多いです。
リースバックという仕組み(取引形態)自体が最近、世の中に広まってきたせいか、
メリットだけが先行し、デメリットやトラブル事例があまり知られていないのが事実です。
国民生活センターでは、
「長寿化に加えて物価上昇などが進むなか、資金不足をリバースモゲージやリースバックでカバーしようとする人は、今後も増えると考えられます。
しかし、ほかにも、家を通常の方法で売却して家賃の安い賃貸住宅へ転居する方法や、資金を借りる場合でも不動産担保ローンという手段があります。
老後の住宅資産活用は、単なる一時しのぎにならないよう、中長期的な資金計画を立てて行うべきといえるでしょう」
と警鐘を促しています。(国民生活センター 特集 老後の住宅資産活用の注意点 2022.12号)
では、リースバックを利用する際の利点や注意点を確認していきましょう。
リースバックのメリット
1 現金を得られる。資金の使い道は自由
2 引っ越さなくてもよい
3 住宅ローンや固定資産税等の支払いがなくなる
4 将来、再購入(買い戻し)することもできる
1.現金を得られる
リースバックの最大のメリットは自宅を売却することで、すぐに現金を得ることができます。
自宅を担保にお金を借りる場合は、用途が制限されることがありますが、リースバックの場合は、資金の使い道は自由です。
注意ポイント1
自宅の売却金額は通常よりも、かなり安くなるかもしれません。
自宅の売却方法には、「通常の売却」「買取」「その他(リースバック等)」があります。
売却価格(高い) | → | 売却価格(安い) |
通常の売却 | 買取 | リースバック等 |
2.引っ越さなくても良い
リースバックは、そのまま賃貸借契約が可能なため、引越しする必要がありません。
長年住み慣れた家に住み続けることができます。
注意ポイント2
賃貸借契約に期限が設けられている場合や条件が付されている場合は、
出ていかなければならないこともあります。こういったトラブルが増えてます。
3.住宅ローンや固定資産税等の支払いがなくなる
リースバックは、あくまでも住宅ローンの残高以上の買取金額でなければ成立しません。住宅ローンの支払いは売却時に一括で清算されるため住宅ローンはなくなります。
また、所有権が移転されるため固定資産税等の支払いもなくなります。
注意ポイント3
住宅ローン残高が多い場合は、通常の売却が望ましいです。
なぜならば、それが一番高く売れるからです。
また、固定資産税等の支払いがなくなりますが、その分、家賃という形で支払わなければなりません。
4.将来、再購入(買い戻し)することもできる
リースバックの条件によっては、買い戻し特約をつけることが可能です。
注意ポイント4
買い戻し特約には、要件や条件がありますので注意が必要です。
また、将来の年齢や職業、資産などの状況によっては、住宅ローンが組めないことも考えられますので慎重な判断が必要です。
リースバックのデメリット
1 家賃の支払いがある
2 賃貸期間に制限がある場合が多い
3 通常の売却価格より安い
1.家賃の支払いがある/相場より高いケースが多い
リースバックは、自宅を売却して資金を得て、賃貸借契約という形で家を借りて住むことになるので家賃が発生します。
注意ポイント5
設定される家賃が相場より高くなることも考えられます。
リースバックの場合の家賃の決め方は、一般的な賃貸住宅とは大きく異なることが多いです。
近隣相場からの家賃設定ではなく、売却(買取)価格の◯%(利回り)を年間賃料として設定することが多いため、
家賃は高くなるケースも多いので慎重な判断が必要です。
2.賃貸期間に制限があるケースが多い
契約期間は2年と制限される場合も多く、リースバックで売却した家に住み続けられる期間は限られる可能性があります。
注意ポイント6
気をつけなければならないのは「定期借家契約」です。
これはその期間で賃貸借が終了することを意味します。
再契約可能といわれても契約上はその期限で一旦終了しますので、
リースバックでの一番大きな注意事項となります。
また、定期借家契約でなくても、色々な条件がついている場合がありますので、
慎重な判断が必要となります。
3.通常の売却価格より安い
リースバックは素早く現金を得ることができる反面、売却価格が通常の売却よりも安くなる傾向があります。(注意ポイント1 参照)
家は今が一番高く売れます
「この家どうしよう?」
「 自宅の売却ってどうやるの?」
「家を売ろうかな?」
と頭に浮かんだら、まずは「不動産の窓口」にご相談ください。
家は今が一番価値が高いです。
なぜならば、明日から1日1日、家も歳を重ねていきます。
一般的に、建物は古くなるにつれ価値は下がります。
逆に、諸費用は年々上がっていきます。
今この瞬間も、建物の価値は下がり、諸費用等が上がっているわけです。
不動産の窓口(恵庭)は、ご相談者様にとって何が一番良い方法なのかを一緒に考えて最適な方法をみつける不動産のアドバイザーです。
リースバックのトラブル事例
1 家賃が高い/上げられた/払えない
2 勝手に売却された
3 買い戻しの金額が高い
4 買い戻しに応じてもらえなかった
5 修繕費の負担で揉めた
6 相続人と揉めた
7 定期借家契約で契約し、再契約を断られた
8 買取価格が適正価格を大きく下回った
9 高額な諸費用を請求された
10 売却した不動産会社が倒産した
1.家賃が高い/上げられた/払えない
リースバックで売却後の家賃は周辺相場より割高に設定されるケースが多いです。(注意ポイント5 参照)
また、契約更新や再契約のときに家賃が引き上がることもあります。
2.勝手に売却された
リースバックで所有権は不動産会社等に移転されますので、
その不動産を他に売却するのは自由です。この場合、賃借人である自宅売却者に承諾を得る必要はありません。
賃貸物件の売買では、賃貸契約の内容は新しい貸主にも承継されますが、
相談していた担当者がいる会社から商売重視の会社等に売却されるわけですから、
粛々と契約内容に応じて、再契約をしないことも、更新時に家賃の値上げなどを要求してくることも考えられます。
3.買い戻し金額が高い
買い戻し金額を周辺相場より高く設定する場合が多いです。
相手の提示した買い戻し金額が払えないとなると、その物件から出ていかない限り、
高い家賃を払い続けなければなりません。
また、更新のない契約の場合、期日が来たら引越しをしなければなりません。
4.買い戻しに応じてもらえなかった
リースバック契約に「買い戻し条項」がない場合は、買い戻しには応じてもらえません。
いつの間にか転売されていることもあります。
買い戻しのトラブルにならないためには「再売買の予約契約書」などを明記する必要があります。
5.修繕費の負担で揉めた
通常の賃貸借契約では、借主の故意過失によらない設備の故障等にかかる修繕費は貸主が負担することが一般的です。
リースバック契約の場合、売却後も元所有者が住み続けることから、設備等の不具合の発生時期の特定が難しいため、
修繕費は特約において借主(元所有者)負担としているケースが多いです。
この場合、設備等の修理は借主(元所有者)が負担しなければなりません。
また、退去時の原状回復についてもトラブルの元となりますので、賃貸借契約の特約などを確認、理解することが必要となります。
6.相続人と揉めた
リースバックはメリットの一つとして、そのまま住めるので、誰にも知られず、直ぐに自宅を売却することができます。
そこで、意外と多いトラブルの一つとして、相続人である子供たちと揉めるケースがあります。
リースバックに限らず、不動産を売却する場合は、必ず家族(特に子供たち)に相談することをおすすめします。
たとえば、ご本人様は買い戻すつもりで、子供たちには相談せずにリースバック契約をしたが、
買い戻し金額が高い、買い戻しに応じてもらえなかったなどの理由から買い戻しができなくなり、
そこで初めて子供たちが知ることになる、なんてケースも考えられます。
7.定期借家契約で契約し、再契約を断られた
リースバックで自宅を売却すると、2-3年単位での「定期借家契約」になることが多いです。
そのときは「再契約可能」と口頭では言われたのに、契約満了時になって、再契約を断られ、トラブルになることがあります。
「定期借家契約」は、名前のとおり「定期」での「借家契約」となりますので、
基本的には契約期間満了で契約は終了となり、退去しなければなりません。
8.買取価格が適正価格を大きく下回った
リースバックでの買取の場合の査定は、収益物件として利回り◯%で算出することが多いです。
たとえば、賃料が月額5万円となる家の場合、年間家賃収入は60万円、表面利回り10%で算出すると、査定金額は600万円にしかなりません。
リースバックで600万円で家を売っても、10年間、月額賃料5万円を払いながら住み続けると、
600万円の賃料を払うことになります。きちんと相談して、きちんと検討する必要がありますよね。
9.高額な諸費用を請求された
リースバックで自宅を売却する際に、「(不要な)測量費用」「耐震補強費用」「事務手数料」など様々な名目で費用を請求される、
または査定金額から差し引きされるケースもあるみたいです。
リースバックといえども、その仕組みを紐解けば、①不動産の買取→②不動産の賃貸 に過ぎません。
不動産の買取の場合、原則、仲介手数料などの手数料を業者はもらうことができません。
また、自己賃貸の場合も同じく、原則、手数料などをもらうことはできません。
また、測量や耐震補強は次の売却を視野に入れているのかもしれませんね。
10.売却した不動産会社が倒産した
リースバック契約した不動産会社が倒産し、賃貸として住んでいる自宅が第三者に売却された、競売によって第三者に取得された、
などによってトラブルになったという事例もあります。
大手不動産会社や上場企業だから信頼しても良いとは言えません。
また、CMなどの広告も多く、全国◯◯◯店舗と言われているお店も、実はフランチャイズの場合が多いですので、
ブランドだけで安心感を持たれることも危険ですし、地域に根ざしていない大手企業なんかも注意する必要があります。
通常の売却とは違い、リースバックは継続性のある取引となります。
その会社が信頼に足りるのかも大事ですが、これから先、共に歩んでいくことができるのかを慎重に判断する必要があるのではないでしょうか。
リースバックには慎重な判断を
リースバックはローン返済や資金不足に追われて、つい急いで決めてしまう人も多いようです。
また「住み続けられる」「買い戻しできる」などの甘いフレーズにも背中を押されるのではないでしょうか。
さらには、リースバックは、まだまだ新しい契約方法であるため、ノウハウの少ない不動産会社も多く、また、法的な整備も追いついていないのも現状です。
トラブル事例、依頼する会社、その他の方法が本当にないのか、充分に検討すべきではないでしょうか。
どうやって検討すれば良いの? の相談窓口が「不動産の窓口」です。
恵庭市の不動産売却、不動産相続、不動産相談は不動産の窓口(恵庭)までご相談ください。
セカンドオピニオン(第2の意見、他の意見)としてもご利用ください。
関連した記事を読む
- 2024/01/09
- 2023/12/20
- 2023/11/27
- 2023/11/17