不動産相続の準備 ②相続人の高齢化問題…認知症になっていたらどうすれば?
不動産相続のための準備に関するコラムその②です!
前回は「亡くなってから3ヶ月以内に決めなければいけない相続の方式」についてご説明しました。
今回は、「相続人の高齢化によるトラブルと、その対策」についてです。
高齢化に伴い、複雑化する相続事情
日本は世界一の長寿国です。
これは、相続でのトラブルにも大きく影響しています。
たとえば、一般的な相続では、
父が亡くなり、妻と子ども2人が相続人になる・・・というイメージがわかりやすいかと思います。
しかし、今日の相続事情では、
亡父:100歳
妻:98歳認知症
子供①:80歳認知症
子供②:75歳没
孫①:50歳
孫②:45歳
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のように、長寿社会を物語る相続関係図となっております。
ここでの一番の問題は、前回ご説明した「親族の関係性」のほかに、相続人が高齢のため認知症になっている場合が多くなってきている、ということです。
相続人のうち誰かが認知症になっていたら…
「法定相続」以外の形での相続は、相続人全員の同意が必要となることは前回お伝えした通りです。
なので、認知症を患っている相続人がいる場合は、分割協議そのものをすることができません。
分割協議とは、簡単にいうと、相続財産を法定相続以外の形で分配するための協議同意書であり、法律行為です。
よって、認知症という意思能力・判断能力欠如の場合の意思決定については無効となりますので、分割協議ができないということになります。
このような場合にできることは次の2つです。
1.相続のとき、いわゆる分割協議の際に、成年後見人(法廷後見人)をたて、相続を完了させる。
2.先延ばしする
イ.相続そのものを先延ばしする。
ロ.法定相続をしたのち、次の相続まで待つ、若しくは成年後見人をたてる。
1の場合(ロの成年後見人をたてる場合も)は、成年後見人制度を利用し、成年後見人(法定)をたてることになります。
これは家庭裁判所に申し立て、家庭裁判所が後見人を決定することになります。
基本的には、判断能力が衰えた人の「財産を守るため」のもので、弁護士や司法書士が選任されることが多いです。
「財産を守るため」が大きな役務となるため、自宅などの売却をすることは非常に難しくなります。
また、基本的には当人が亡くなるまでの代理人契約は続くため、月々数万円の報酬の支払いが必要となります。
2の場合は、先送りすることによって、認知症の相続人がいなくなるまで待つことになります。
しかし、時が経てば新たな認知症の相続人が現れる可能性も大きいので、問題解決になるかは不透明です。
こうした事態を避けるために、生前贈与をする手もありますが、生前贈与は「生きているうちの相続」でしかないため、そもそも「相続問題」を解決する手段にはなりません。
生前から相続について家族で話をすること、そして、生前のうちに整理(生前整理)をしていくことが望ましいのではないでしょうか。ご相談は弊社でも承っております。
認知症になる前に考えておきたい、3つめの選択肢
前述の2つの方法のほかに、3つめの方法として「成年後見人(任意)」というものがあります。
成年後見人制度とは、意思能力が低い人の判断を他の者が補うことによって、本人を法律的に支援するためのものであり、
たとえば、認知症や障害などで意思能力が欠如した人の法律行為の代理や、財産管理能力を失った人の財産管理などがあります。
成年後見人制度には、「法定後見」と「任意後見」があります。
法定後見は先述のとおり、認知症などになってから、その人の法律行為を代理するため、配偶者や相続人などが家庭裁判所に申し立てることで手続きが開始されます。
法廷後見人は裁判所が、本人や家族などとの利害関係のない弁護士や司法書士を選任します。彼らは主に、本人の財産を保護することを目的とした判断をくだします。
それに対して、任意後見は、自らが後見人を選任し、将来、判断能力が欠如したときの、生活や看護、財産管理に関する事務の全部や一部について、代理権を与える契約をあらかじめ結ぶことをいいます。
これは、本人が判断能力のあるうちに、本人の意思によって締結された内容での後見となりますので、
法定後見のように、すでに意思能力、判断能力が欠如している状態での選任とは異なり、不動産の売却なども本人の意思が尊重されることになります。
この「任意後見」で私が提言したいことは、
後見人は「弁護士」だ「司法書士」だと決めつけるのは得策ではありません。
たしかに、弁護士は法律のプロですが、不動産のプロではありません。
司法書士は不動産などの「登記」のプロですが、不動産のプロではありません。
税理士は相続税などの「計算や申告」のプロですが、不動産のプロではありません。
不動産のプロは不動産屋しかいません。
相続財産の42%が不動産であり、32%が現預金、15%が有価証券、11%がその他です。
(相続財産の金額の推移/国税庁/平成29年度)
このように、判断能力があるうちに不動産に関する事務について、不動産のプロと「任意後見契約」を締結する方法もあります。
早めに不動産相続について考えること。そして、プロへご相談ください。
いずれにしても、早い段階で、なにが懸念事項なのか、どのような対策ができるのかなど、
相続という大きなひとくくりではなく、一つ一つを顕在化させることが必要となります。
誰しも、「認知症になって周囲に迷惑をかけたくない」という思いはあるものですが、実際にそのためにできることのうちの一つが、相続に備えることです。
不動産の窓口は「不動産」のプロとして、不動産相続などで生じる、お客様の「不・負」の解消のためのご相談をお受けしております。
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