賃貸経営の心構え!修繕のお金のこと、入居者に請求する原状回復費用について知ろう!
相続などで、知識がないのに賃貸物件の所有者になってしまった…。
色々法改正などもあり、最近の賃貸経営事情がわからない…。
といったことはないでしょうか?
はじめて賃貸経営をして、しかも自分は賃貸物件に住んだことがない、といった方は、
「修繕などにかなりのお金がかかる」というイメージがつかないという方も多いのではないでしょうか。
貸主の「修繕の義務」「原状回復のガイドライン」を知って健全な賃貸経営をしよう!
入居者さんから「これを直してほしい」と連絡がきたけど、これはオーナーが直さなきゃいけないものなのか?
退去時に汚れた部屋を直す費用を請求しようとしたけど、それは貸主の負担だと拒否された…。
よく知らないまま賃貸物件を相続したり、昨今の賃貸事情を知らずに賃貸経営を続けていると、こういったことがあると思います。
もちろん契約内容や物件それぞれの状況によって違いはありますが、
家賃をもらって部屋を貸す以上、貸主として建物と設備を維持するために手をかけ、お金をかけなければいけません。
しかし、実際には「お金をかけなくてもいいと思っている」「どんな状況でも、入居者さんが全部お金を負担するべきだと思っている」オーナーさんが、かなりいらっしゃいます。
設備が壊れても直さなかったり、退去時費用の過剰な請求をした、などで裁判沙汰になることは少なくありません。
最低限、何をしなければならないのか、退去時の費用請求の基準はどうなっているのか、簡潔にご紹介します!
貸主の修繕義務を知ろう!
まず、賃貸をしていて建物や設備が壊れて使えなくなったとき、その原因が借主の責によらないものであれば、貸主が直さなければなりません。
「貸主の修繕義務」の対象になるものは、「建物にくっついているもの」が基本です。
・建物そのもの
・ドア、ふすま、窓などの建具
・水道配管、電気や電話の配線など
・風呂、トイレ、キッチンなどの水回りの設備など
建物を建てたら、そのとき最初からついているようなものはほぼ、直す必要があります。
そのほか、簡単に取り外しのできるようなものでも、「契約書に設備として書いてあるもの」は直す必要があります。
・照明器具
・冷暖房設備
といったものが例としてあげられます。
逆に言えば、契約書に設備として書いていないものは直す義務はないので、入居者さんが直したいのであれば自分のお金で直してください…ということにはなるのですが、
なんでもかんでも設備から外して、なんでもかんでも自分で直してください…という物件に入居したい人はあまりいません。
他にも、色々な懸念点があります。
以前詳しく書いた記事もありますので、よろしければお目通しください。
修繕にかかる費用は、
部品の老朽化による交換などのような数千~数万円のものから、
給湯器、冷暖房機器のような新品交換する場合数十万かかるケースのあるもの、
外壁や屋根などは百万円以上かかることもあります。
新築の物件であっても「いつかは発生する費用」なので、賃貸経営には長期的な目線が必要になってきます。
また、修繕義務のあるものを直さずに放置している場合、
入居者さんは「借りているものの一部が使えないのだから、その分の家賃は支払いません」と家賃の減額をすることが認められています。
民法 第611条(賃借物の一部滅失による賃料の減額等)
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。
すぐに直せないという場合は、求められたら家賃の減額に応じる必要があります。
速やかな修理の実施、早急にはできない場合は応急処置などの対応も考えましょう。
原状回復費用について知ろう!
原状回復費用についてあらためて説明しますと、
「部屋の明け渡しに際し、借主がつけてしまった汚れや、壊してしまったものを直すためのお金」
です。
入居者が生活していて、転んで壁に穴にあけてしまった、という場合であれば、
壁のボードを交換するお金と、壁紙を貼りかえるお金などを請求…といった形ですね。
が、入居者に過失があって汚したわけでもないのに、「壁紙を全部貼りかえるお金」「床を全部貼りかえるお金」などを過剰に請求する行為が多々あったため、
国土交通省から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というものが出され、
現在は多くの不動産会社で、このガイドラインを基準に契約書が作成されていますし、
契約書に細かい取り決めがない…という場合もこのガイドラインが参考にされます。
このガイドラインの基本的な内容は、
経年で劣化する部分、生活していれば自然に損耗する部分は、貸主が負担しましょう。
故意や過失、善管注意義務違反によるキズや汚れがあったら、借主が負担しましょう。
請求する金額は、その住宅や設備の残存価値を考慮して決めましょう。
ということです。
3つ目がよくわからないかもしれませんが、
簡潔に言えば、「何十年も貼りかえていない壁紙の残存価値は1円なので、多少の過失などによる汚れであれば、入居者に請求できる費用は1円」といった形になります。
重大な過失や悪質な故意などとなれば、その限りではありませんが。
大まかな内容としては国交省でも公開されているこちらが、
賃借人向けのものですが、簡潔でわかりやすいかと思います ↓
ガイドラインで賃貸人負担になっているものを賃借人負担にしたい、という場合は、
契約書にその旨をきっちり記載し、金額も明瞭にしておく必要があり、
さらには消費者にとって不当ではない金額や内容である必要があります。
一般的に借主が負担することの多い空室清掃の費用も、ガイドライン上は貸主負担が妥当とされており、
契約書に記載があり、常識的な金額を請求することで、現状認められているものです。
原状回復などの問題については、借主向けのものを含め過去にいくつか記事を書いております。
▶何書いてあるか全然わからない!「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」て結局なんなの?
▶高額な原状回復費用に「国交省ガイドライン」で対抗…する前に知っておきたい注意点!
▶【善管注意義務って?】退去時お金を請求されないために、何に注意して暮らせばいいの?
▶【賃貸管理のトラブルQ&A】クロスの汚れはどんな事情でも「6年経ったら1円」になるの?
難しいときはプロに頼ろう!
昨今はネットで簡単にこういった情報を得ることができたり、経験談なども豊富にあるため、
部屋を借りる側の人も、上記のような知識は十分に身に着けていることがあります。
貸主側もきちんと学んでおく必要がありますが、法令改正がされたり、裁判によって契約書の解釈が変わることもあるため、
最新の情報を常に知るのは簡単ではありません。
また、賃貸管理は「家賃をもらい、必要な修繕をする」というだけでなく、こまごまと色々な仕事があります。
以下は、全国賃貸不動産管理業協会というところが作成した「賃貸管理業務フロー」で、
賃貸管理を業務として行っている会社が何をするのか…を紹介したものです。
様々な業務がありますから、ご自身の本業があったり、遠方に住んでいる場合は、
細やかな管理は難しいことも多いでしょう。
そういった場合は、賃貸管理を「管理会社」に委託する、といった方法もあります。
また、「賃貸アパートを相続したけどまずはなにをどうしたら!?」という場合はこちら↓の記事もご参照ください。
今まで賃貸住宅との関わりが薄かった方が、「賃貸経営」「大家さん」の言葉からイメージするものに、
家賃収入についてはなんとなくあっても、支出についての意識がないのは、最初は当然だと思います。
何十年も大家さんをしていた方であっても、
かつては緩かった契約書などの内容も細かく書かれるようになってきて、「前までやっていた管理・経営方針が通用しない」という方も多いです。
色々なことが複雑になり、次々と変化していくので、
現在における賃貸経営は、一人で簡単にできるものではなくなってきています。
衣食住の「住」を提供しているという、社会的にも重要な役割です。
しっかりと心構えをして、賃貸経営・管理を行いましょう!
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