おひとりさま高齢者は670万人超え 残される不動産は
65歳以上の「おひとりさま」が2020年に約672万人となりました。
1980年には88万人だったので、この40年間で7.6倍にもなったことになります。
そして、2040年には896万人になることが予想されています。
60年で10倍以上増えることになります。(令和4年版高齢社会白書/内閣府)
日本の相続は「家族=夫婦+子供」が基本単位
相続は、亡くなったあと「配偶者と子供に遺産を分ける」ことが基本となっています。
いない場合は親兄弟や孫、となります。
しかし「おひとりさま高齢者」の方は配偶者に先立たれた方や生涯独身の方などが多く、親戚づきあいも希薄なケースが多々あり、
身近に相続人がいないことで相続に対する意識も薄くなり、なにもしないままでいらっしゃる方も多いかと思います。
相続についてのお話は過去にも何度か書いておりますので是非ご参照ください。
動けるうちに資産整理(不動産の処分)
不動産相続の準備 ①相続方式と相続を放置された土地の未来
不動産相続の準備 ②相続人の高齢化問題…認知症になっていたらどうすれば?
不動産相続の準備 ③相続が揉めることで相続税が高くなる!?
5年越しの相続相談 ~生前のご相談から買取に至るまで~
国庫帰属財産は年間600億円
高齢者の「おひとりさま化」にともない、
大切な遺産が国庫に帰属(没収)されている額が、2020年度はなんと600億円を超えました。(2021年度は647億円)
令和5年4月から相続土地国家帰属制度が開始しますので、この額が更に増えていくのは明らかでしょう。
相続土地国家帰属制度についてはこちらの記事もご参照ください。
日本の所有者不明土地は九州よりも広い…「持ってても損はしない」が終わろうとしています!
カネになる財産しか国は没収(国庫帰属)しません
勘違いをされているご相談者様も多いです。
「どうせダメなら最後は国に帰属するんですよね?」と思っている人が多いです。
しかし、どんなものでも国が引き取ってくれるわけではありません。
たとえば、負の財産となった不動産…「負動産」化した不動産をお持ちの多くの方は、
売却・処分のために住所変更などの手続きや諸費用がかかるなど
「てま・ひま・カネ」がかかるわけです。
そうすると前述のように「最終的には国が引き取ってくれるんですよね?」
「であれば、てま・ひま・カネを使ってまで売却・処分する必要ないですよね?」
と言われます。
繰り返しになりますが、負動産を国は引き取りませんし、
負動産でなくても名義等の登記関係しいていえば相続関係をしっかりしていなければ、
要するに、きちんとした不動産がきちんと管理・手続きされていなければ、
国庫がタダで引き取るなんてことはないと考えた方がよいです。
貴方の大切な遺産本当にそれでいいですか?「おひとりさま」こそ遺言書を
たとえば、たくさんの不動産をお持ちで、借地や借家もたくさんあるとします。
貴方がおひとりさまで、何も対策せずに亡くなったとします。
母校に寄付したいと思っていても叶いません。
お世話になった人に少し分けたいと思っていても叶いません。
今まで借地、借家の人たちと築いてきた信頼関係も保てません。
なぜならば、財産管理人は国庫に返納するために現金化することでしょう。
特別縁故者として名乗りを挙げたとしても簡単には認められないでしょう。
自筆できる状況であれば、ほんの少しの手間で遺言書は作れます。
日々書き換えることも可能です。
最後の最後まで検討して決めてから「人生最期の仕事」として書くのではなく、取り敢えず今思っていることを書き、日々、更新していけば良いのではないでしょうか。
遺贈の遺言書は以下のような書き方をします。
遺言書
○○○○に次の不動産を遺贈する
(遺贈の場合、遺贈先○○○○は特定できる必要があります)
(土地)
所在 恵庭市○○町
地番 ○○番○○
地目 宅地
地積 ○○○.○○㎡
令和5年2月13日
不動産 太郎 印
この後に、違う人に遺贈しようと思ったら、新しい紙に書き直せば良いだけです。
「遺贈」で「遺産」を死後に有意義な活用を
汗水を流して築いてきた遺産を死後有意義に役立ててもらいたいと思うのなら、
遺贈という方法も選択肢としてあるのではないでしょうか。
遺贈については「続編」として後日アップしますので今しばらくお待ちください。
相続や遺贈の対策をするのは早いにこしたことはありません。
「おひとりさま」になったタイミングはまさしく最後のタイミングかもしれませんね。
※ここでいう「おひとりさま」とは、65歳以上の一人暮らしの方をいい、ご家族、相続人の有無ではありません
不動産の相続・遺贈についてのご相談は不動産の窓口(恵庭)までお寄せください。
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